2017年5月21日日曜日

「石垣組織」と「ブロック塀組織」

経済産業省による「2017年度技術力活用型・新興国市場開拓事業 国際化促進インターンシップ事業」の説明会に参加してきました。本事業そのものへの関心もありますが、一番の目的は(株)クオリティ・オヴ・ライフの原正紀さんにお会いすることでした。

原さんは今回「グローバル展開が組織を未来対応させる〜組織を強くする外国人活用〜」と題したワークショップをご担当されましたが、その中で最も心に残ったのは、多様な人々(異なる形や大きさの石)で構成された「石垣組織」が、同質性の高い「ブロック塀組織」に比べ、いかに強いかと言うお話でした。

外国人採用で期待することに、新たな価値の創造や、作業プロセスのイノベーション、グローバル化への対応等があるでしょう。しかし、成功事例として紹介されたある企業が経験した、外国人採用による効果は、もっと日常的なものでした。それは「日本人従業員がはっきり意見を述べることができるようになった」と言うもの。分からないことはたずね、自分の意見を持ち、はっきり相手に伝える外国人従業員の姿に、日本人社員が感化されたとのこと。

この企業では、外国人のそもそもの採用基準に「自分の意見を持っている。自立している。」などを掲げているそうです。だからこそそのような態度が仕事でも奨励され、個が活かされ、同僚の日本人の働き方にも良い波及効果をもたらしているのでしょう。

しかしこのような企業が存在する一方で、多くの外国人が日本企業での働きづらさを感じている現状があります。主な悩みは日本人従業員とのコミュニケーション不足。原さんによると、日本政府から特別な在留資格を与えられた高度人材の実に5分の1は、既に日本を去っているとのこと。残念なことです。

あたりまえのことですが、「人手不足だから」「海外展開だから」と周囲にしっかりと採用の意図を説明しなかったり、採用する外国人にも「なぜあなたが必要なのか」が伝えられていなければ、(石垣でいうところの)異なる形の「石」はうまく回りとフィットしないでしょう。そしてそもそも日本人従業員一人一人も異なる「石」であるはず。お互いを活かし合うために、お互いにより意識的になり、特に日本人は思いの言語化に積極的に努めなければならないと感じました。


写真は石垣の上にそびえたつ松山城

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