2017年1月31日火曜日

誠実な消費者に応えるには・・・


株式会社ライブスさん主導のもと、クアラルンプールの三井アウトレットモール内にある「Fan Japan Shop」にて、日本食の試食イベントを行いました。日本全国から「長寿」をテーマに募った有機のお茶、海藻麺、柑橘加工品、無添加おでんなどを店頭で提供し、3日間で300名以上の方々に、それぞれの味、価格、パッケージデザイン、改良点などについてご意見をうかがうことができました。

印象的だったのは、応対してくださった買い物客のみなさんの誠実さ。唐突に呼び止められ、見慣れない日本食をすすめられて質問を投げかけられるという状況にも関わらず、年配の方も、子どももカップルも、とても丁寧に質問に答えてくれました。

例えば、価格の高さをマイナス点として挙げる場合も、商品のどのような特徴をパッケージに記すことで消費者が納得するかをアドバイスしてくれたり、マレーシアで人気がある類似品をスマホでみせてくれたり、高くても買ってくれそうな富裕層が集まるスーパーマーケットを教えてくれたりするのです。そのような彼・彼女らの姿勢を目の当たりにして、もしかしたらマレーシアの消費者は、日本の消費者よりも商品に対して厳しい目を持っているのかもしれないと感じました。もしくはそれを表現することをいとわない人が多いのでしょうか(もちろん今回好評もたくさんいただきました!)。



東南アジアで活躍する日本人のコンサルタントの方によると、現地の方々の日本の商品に対する信頼はとても高いそうです。一方で、その信頼に大きな期待をかけ、商品説明や価格を抑えることへの努力をしないまま、「日本のものだからうけるのでは」と、基本的な情報を単に翻訳しただけで、安易に海外への販路獲得を狙うケースも増えているとか。今回マレーシアの方々と言葉を交わし、もしかしたら海外市場を狙う場合は、日本人を対象にした場合以上に、誠実な商品づくりと丁寧な説明が必要なのではと実感しました。

聞き取り調査の様子:



会場となったFan Japan Shop:


今回一緒に取り組んだみなさんと:

2017年1月28日土曜日

旧正月の贈り物。愛媛みかんもまだまだいけるはず!

中華系の人たちにとって最も大切な祝日である旧正月。日本でいうところのお歳暮やお年賀に当たる贈り物文化があり、マレーシアの商業施設も購買意欲を掻き立てるディスプレイや旧正月用ギフトパッケージで賑わっていました。

赤と金を基調に、中身が見える華美な盛り合わせが特徴です。


ご予算は1件あたり3000円〜2、3万円くらい。漢方薬専門店のギフトバスケットには6万円代のものも!!


日本のものはないのかな〜って思っていたら三越伊勢丹ジャパンストアに日本のお菓子盛り合わせが。


そしてどこのスーパーにもうず高く積まれているみかん。「吉」や「富」を意味する縁起物で、飾ったり送りあったりするのだそうです。中国産が主流で、旧正月用の華美なボックスに入って売られています。数箱まとめて買っていく人もたくさん。





そしてこちら、たまたま遭遇したイベント会場での愛媛みかん。旧正月ムードゼロで整然と積まれていて、ちょっともったいないかな・・・。



ハイブランドも干支を使ったディプレイでアピール。


2017年1月14日土曜日

100兆円市場。

イスラム法の基準を満たすことを消費者に示すハラル認証。その市場は100兆円に達したという報告も。ASEAN人口の40%はイスラム教徒であり、在日ハラル市場は500億以上。訪日ムスリムは35万人で、2020年には100万人に達するとも言われています。

日本の食品 ・飲食業界でも海外展開やインバウンド対応に向けてハラル認証獲得を検討する企業が増えているようですが、30兆円と言われる世界のハラル食品市場の中で日本食のシェアはまだ「皆無」と言う専門家も。世界の3人に1人はイスラム教徒という時代がやってくることを考えると、少しずつでも日本のシェアを伸ばしていきたいところ。

実際、ハラル認証には、イスラム法にのとっているだけでなく、健康的、清潔、安全、高品質、高栄養価であることも求められますから、そう思うと品質にこだわり、元来ヘルシーである日本食が持つ可能性は計り知れません。ただ個人的には、高いお金をかけて認証を得る前にできることがたくさんあると感じます。日本を訪れるイスラム教徒、コーシャー、ヴィーガン、ベジタリアン等の人たちが、口にしても良いものか、せめて自分たちで判断できるように、まずは何を提供し、どのように調理したのか、多言語で表示することから始めてはどうでしょうか。

来週は総人口の60%がイスラム教徒であるマレーシアへ行きます。旧正月前の一番消費額が伸びる週末の繁華街を目の当たりにしてきます。

以下は本日の日経新聞の記事:














*我が家から5分ほどのところには、着物地でムスリムファッションを作る会社「創作ギャラリーふく紗」さんがあります。ガイアの夜明けでも取り上げられていました。
http://www.fukusa.com/

2017年1月12日木曜日

”子連れ出勤”

日帰り神戸へ15時間のドライブ。これまで中心に行ってきた、日本食輸出の話から一転、今回はベトナムの有機食品輸入のご相談でした。先方は、消費者への安心・安全な食の提供だけでなく、持続可能な生産環境づくりと担い手育成までを考慮して活動されていらっしゃるとのことで、私たちの理念と大きく重なる部分があり、様々な可能性が示唆された時間でした。

そして、今日は”子連れ”でした。仕事が休みの娘が付き合ってくれました。振り返れば、彼女が生まれて2歳までは、幸運にも、子連れ出勤させていただける職場で働いていました。いつ機嫌が悪くなっても困らないように、毎日たくさんのおやつ・飲み物、そして大量のオムツをバッグに詰め込んで出かけていたっけ。

でも気つけば、あっという間に私が「ついてきてもらう」立場に. 笑。娘は居眠り防止に、私が熱唱できそうな曲をたくさん自分のiphoneに詰めていました(もちろん聖子ちゃんナンバーも. 笑)。それと水筒のホットコーヒー。どこまででも走れそうな気分。

*写真は淡路島から望む明石海峡大橋。その向こうに見えるのは神戸市と明石市。

2017年1月9日月曜日

補助輪走行が続いています。

昨日からは3、4日間引きこもる覚悟で、過去半年の事業についての総括を行っています。数字については税理士の方にお手伝いいただき、その他の成果については、自分自身のプロジェクトごとの報告書や、様々な成果物を見直しながらまとめています。そして改めて気がつくのは、本当に多くの方に支えられてなんとかやれているのだという事実。

海外営業のために商品を提供してくださるメーカーさん、営業に同行してくださる方、サイトでの情報提供を快諾くださる企業さん。次から次へと投げるボールを受け取り、確実に投げ返してくれる翻訳担当の皆さん等、挙げればきりがありません。そして気がついたのは、その方々と私の間には、つなぎ役を担ってくれた鍵となる人物が複数存在するということです。そのつないでくれた方々の信頼があったからこそ、出会って間も無い私に「協力してみよう」「任せてみよう」と関わってくださっている・・・。そう思うと今はガチガチに補助輪を装着して走っている存在にすぎないことがわかります。

「紹介して良かった」「関わり続けたい」と思っていただけるかどうかはこれからです。ギアを上げていかなければなりません。

八水蒲鉾さん、昆布森さん、ウィルビー高橋商店さん、尾崎食品さん五色そうめんさん、遠赤青汁さん、そして弊社のサイトを作ってくださっているアービンズさん、そしてそして建装アドエージェンシーさん、他たくさんの方に多大なご協力をいただいています。
 

2017年1月4日水曜日

「他責の人」から「自責の人」へ

2年半の留学生活を終え、同級生より一足先に高校を卒業した娘。「すごいね」「頑張ったね」と周りの方に褒めていただきますが、彼女がどのような知識やスキルを身につけたのか、英語がどの程度使いこなせるようになったのか、正直日常の中では計り知れません。ただ、久しぶりに2ヶ月近く同じ屋根の下で暮らしてはっきり感じ取れるのは、「他責の人」から「自責の人」に変容したのだな、と言うことです。

中学まで、いや1年前に冬休みで帰国した高校2年までは、うまくいかないことに腹を立て、これからの自分の人生に起こりそうな不安要素を挙げて、苛立ちをあらわにすることが度々あり、スカイプで泣き崩れることも珍しくありませんでした。しかし、今の娘は常に前向きで、進学のためにバイトを始め、バイト先の不満を口にしている時でさえも活き活きして見えます。気持ちの切り替えが早く機嫌の悪い時がほとんどありません。そんな様子をみて、負の要素を環境や周囲のせいにしない「自責の人になったんだな」と感じます。

とは言え、まだまだ大人に守られた存在であり、これからも自分が持つ思考の枠組みや価値観ではどうにも対処できない事柄にたくさん出会うことと思います。海外での高校生活で培った、自分の幸せを人任せにしない、目の前の事柄に粘り強く対処していくという心理資本の種を、これからも大事に育てて欲しいと願っています。

*写真はハノイの歴史博物館にそびえ立つ大木。この枝の様に、様々な経験と学習を通して、思考の枠組みを複雑化し、様々な物事を受け止められる人に私もなれたら・・・

2017年1月2日月曜日

2016年の気づきと2017年展望

皆さま、新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。Nourish Japanが生まれ約半年が経過しました。新年を迎えたことと1期目の後半戦に突入するにあたり、展望を整理しておきたいと思います。まず、この半年は、とにかく「やれることはすべてやってみた」という一言に尽きる日々でした。「愛媛の良いものを海外へ」という想いはあるものの、どこから始めて良いか分からず、とにかく良いと思う商品を携えて渡航を繰り返し、会うべき人に全て会い、学びに繋がる研修プログラムや仕事には片っ端から手を挙げて足を運びました。端からは滑稽に見えていたことでしょう。しかし、そんな中で幾つかの重要な気づきを得ることができました。以下にそのうち3つを列挙します:

1. 「愛媛」というテーマで編集してモノを揃えても、魅力が伝わらない
愛媛には、柑橘類、養殖魚、真珠など、日本一を誇る素晴らしい商品がたくさんあります。しかし海外の人にとって「愛媛」は馴染みのない場所であり、海や山の幸が豊富な場所であることも、日本のどのあたりに位置するのかすらイメージできないというケースが少なくありません。言い換えれば海外においては、「愛媛」のブランド力は皆無と言っても過言ではないのです。そのような状況においては「愛媛推し」ではなく、一つ一つの商品の魅力をしっかり伝えることが大切であるとともに、それでも愛媛のものをプロモートしたければ、別な枠組みで商品を編集することが必要です。それは何か、ベトナム渡航5回目にして見えてきたことがあります。ここではまだお伝えできませんが、今年はこれに着手します。

2. 包括的で継続的なプロモーションの重要性
この半年、海外展開に着手されている多くのメーカーさんとお話しをさせていただく機会を得ました。その中で知ったことに、展示会などの単発的なイベントに参加しても、なかなか成約や販路拡大に結びつかないという事実があります。また、一旦海外の取り扱い店舗で販売が確定しても、継続的に取り扱ってもらうことは簡単ではないという事実も。ではどうすれば良いのか。これは大学時代に関心を持って自分なりに調べた、学習者中心の学習機会の提供方法が活かせそうです。こちらが伝えたいことを一方的に、限られた時間で伝えても相手はそれを理解するとは限らない。双方行のやり取りはもちろん、相手の世界観や価値観の転換が起こるような商品についての深い学びの機会を、複数の方法で継続的に設ける必要があるでしょう。そのために、地元メディアを活用したアプローチが有効だと考えています。今は頭で思い描いているだけですが、今年はまずひとつの商品を選んで、メディアを活用したテストマーケティングを実施する予定です。

3. 自分が活かせそうな場所
「海外に商品を持っていく」と一言に言っても、そこにはたくさんの業務があり、それぞれに専門家が存在します。貿易実務、物流、商社機能などなど、既に多くの企業が活躍し且つ新しい商材を探している状況で、今更私がどの部分で貢献できるのか、たくさん頭を悩ませました。ひとつ見えてきたのは、日本の商品の魅力はまだ十分に海外に伝えられておらず、商品の本質的な良さを伝えるためのPR文章作成については自分の力を活かせそうだということです。今年はこれをただの仮説で終わらせないように、実際に結果を出し、そのあとの営業活動に結びつけていければと思っています。

ホーチミンでのプレゼンテーション。抹茶も点ててみました。



英語サイトも完成しました。http://nourishjapan.com/english/